フィルムシミュレーションを比較してみよう | Photograph days  

フィルムシミュレーションを比較してみよう

/Posted:2017.06.26

富士フイルムのミラーレスカメラXシリーズの最大の特徴といえば「フィルムシミュレーション」。 かつてのフィルムの名前を冠したものから、ネガフィルムを再現したもの、モノクロまであります。でも、ちょっとわかりにくくありませんか?

今回は実際に使い込んだ経験から、X-T2に登載されているシミュレーションを解説していきたいと思います。

ベースとなる8種類のシミュレーション

最新の機種(X-Pro2、X-T2、X-T20、X100F)に搭載されているフィルムシミュレーションは以下8種類です。

  • スタンダード/PROVIA
  • ビビッド/VELVIA
  • ソフト/ASTIA
  • クラシッククローム
  • ProNeg.Hi.
  • ProNeg.Std.
  • ACROS
  • モノクロ

富士フイルムの絵作りの傾向

富士フイルムのデジタルカメラの絵作りの基本的な傾向は、「シャドウをしっかり締めて印象の強い写真に仕上げる」というものになっています。

他社のカメラの写真と比べると、色が濃い目に出たり、画面の暗めの部分の細部が潰れ気味になります。ですが、この効果によって全体を見たときの印象の強さを生み出しているのです。

基準となるPROVIA

Provia
FUJIFILM X-T2, 16.0 mm, f8.0, 1/600,ISO400
Photo by Tomoya Kurashige

generated by FlickURL

リバーサルフィルムのPROVIAは次の VELVIAほどではありませんが、高彩度で硬調のフィルムです。しかし、フィルムシミュレーションとしては、PROVIAの再現というより「スタンダード」という位置づけです。

コントラストも彩度も標準的で、大概の被写体はこれで十分と言えるほど完成度が高いものです。以降のシミュレーションはこのPROVIAを基準に解説していきます。

派手で硬いVELVIA

Velvia
FUJIFILM X-T2, 16.0 mm, f8.0, 1/600,ISO400
Photo by Tomoya Kurashige

generated by FlickURL

PROVIAと比較すると、彩度が高く、コントラストも高い絵作りです。通常の被写体で使うとかなり色の濃い仕上がりになります。

実際の見た目に近い再現よりも、人が見たときの印象に近い再現をしたい時、例えば風景などの被写体に選ぶのがベストです。

「柔らかく無い」ASTIA

Astia
FUJIFILM X-T2, 16.0 mm, f8.0, 1/600,ISO400
Photo by Tomoya Kurashige

generated by FlickURL

「ソフト/ASTIA」と銘打っていますが、実際にはほとんどソフトに感じることはありません。場合によってはPROVIAよりも若干コントラストが高めに感じることもあります。

特徴としては、肌色の再現を意識してか、赤系の色が明るめに再現されます。利用ケースとしては、やはりポートレート撮影だと思いますが、赤を強調したいようなケース、例えば夕陽などでも活躍しそうです。

彩度が低く、特に赤が抜けたクラシッククローム

ClassicChrome
FUJIFILM X-T2, 16.0 mm, f8.0, 1/600,ISO400
Photo by Tomoya Kurashige

generated by FlickURL

非常に個性的なシミュレーションです。コンパクトカメラのX30で初搭載され、以降の機種に搭載されています。

その特徴は一言でいえば、「渋い」。コントラストはPROVIAと同じか若干高め、一方で彩度は低めで赤系が抑えられ、ややイエロー(あるいはアンバー)かぶりしています。

デジタルカメラの特性としてRGB等の原色系が派手に出過ぎる場合があります。それを抑えることを意図したそうです(戦場の鮮血などが強く出過ぎるという声が多かったようです)。

彩度が低めだが、硬めのProNeg.Hi.

ProNeg.Hi.
FUJIFILM X-T2, 16.0 mm, f8.0, 1/600,ISO400
Photo by Tomoya Kurashige

generated by FlickURL

名前の通りネガフィルムを意識したシミュレーションです。Hiは、コントラストが高め。PROVIAより若干コントラストが高いです。彩度は低めですが、クラシッククロームほどではありません。

PROVIAより色を抑えたいというケースではこちらのシミュレーションがオススメです。ですが、コントラストが高くなるようなシチュエーションでは白とび黒つぶれしやすくなるので注意が必要です。

とにかくあっさりProNeg.Std.

ProNeg.Std.
FUJIFILM X-T2, 16.0 mm, f8.0, 1/600,ISO400
Photo by Tomoya Kurashige

generated by FlickURL

フィルムシミュレーションの中で最もコントラストが低く、彩度が低いシミュレーションです。プロ用ネガフィルムのPRO160を想定したものです。

通常の用途ではコントラスト、彩度ともに低くあまり実用的ではありません。かなり強いライティング条件下で威力を発揮するシミュレーションです。

また、全シミュレーションの中で唯一シャドウがそれほど締まらないものになっています。他のシミュレーションでは潰れてしまうシャドウの細部を再現をすることが可能です。この特性を利用してレタッチベースに使用するのがオススメです。

少し硬めでディテールの豊富なACROS

ACROS
FUJIFILM X-T2, 16.0 mm, f8.0, 1/600,ISO400
Photo by Tomoya Kurashige

generated by FlickURL

X-Pro2で初搭載されたシミュレーションです。「世界で最も粒状性がよい」と喧伝している同社のモノクロフィルムを再現をしています。

後述するモノクロよりも、中間はコントラストが高めになります。結果、より立体感が強調され印象の強いモノクロームとなります。一方でシャドウは中間よりソフトに仕上げることで、シャドウトーンが再現されるように設計されています。

PROVIAをベースとしたスムースなモノクロ

Monochrome
FUJIFILM X-T2, 16.0 mm, f8.0, 1/600,ISO400
Photo by Tomoya Kurashige

generated by FlickURL

基本的にはスタンダード/Proviaの彩度を0にした感じのシミュレーションです。スムーズなトーンカーブのモノクロなので、若干インパクトにかけるかもしれません。少しコントラストを高めに仕上げると良いように思います。

ACROSも同様ですがイエロー、レッド、グリーンフィルターを加えたシミュレーションが用意されているので、被写体の光の当たり具合で適宜フィルターを変えたり、ハイライトトーンやシャドウトーンを変更すると良さそうです。

まとめ:富士フイルムらしさ溢れるシミュレーション

デジタルカメラの画像をプリントすると「ぬるっ」としたいかにもデジタルっぽく軟調になりがちです。しかし、シャドウを締める傾向の富士フイルムのデータはプリントしてもキリッとしています。富士フイルムのフィルムシミュレーションは他社の絵作りと違い、デジタル時代の写真らしい階調と色再現と言えそうです。

ただ、悪くいえば富士フイルム調になってしまうので、レタッチで色々いじるための素材として扱うには向いていないかもしれませんね。

関連コンテンツ

このエントリーをはてなブックマークに追加 feed-icon 読者になる(RSSに登録)