X-T2のフィルムシミュレーションを大調査。各シミュレーションの傾向をヒストグラムから読み取ろう | Photograph days  

X-T2のフィルムシミュレーションを大調査。各シミュレーションの傾向をヒストグラムから読み取ろう

/Posted:2017.05.21

富士フイルムのカメラの特徴といえば、フィルム製造で培われた画質。プロビア、ベルビア、アスティアとリバーサルフィルムの名前が冠された「フィルムシミュレーション」が搭載されていることです。

ベルビアはコントラスト高く、彩度も高くて人気のフィルムですし、アスティアは軟調でポートレートに向くフィルムでした。フィルムシミュレーションはこのフィルムの色や階調をデジタルカメラで再現したものです。 X-T2を使いこなすために、各フィルムシミュレーションの特徴を調べてみたいと思います。今回は各フィルムシミュレーションの特徴をヒストグラムから読み取りたいと思います。

富士フイルムの絵作りを検証する

富士フイルムのカメラを使って感じるのは、他社のカメラよりも「シャドウが潰れる」ということです。おそらくリバーサルフィルムの絵作りを再現することを意識しているのでしょう。リバーサルフィルムは露出の許容幅が狭いのでシャドウは潰れやすく、ハイライトは飛びやすいのです。

一方で2つあるProNegはネガフィルムを意識して開発されたもので、いずれも彩度は控えめでHiはコントラストが高く、Stdはコントラストは抑え気味になっています。ネガフィルムはリバーサルフィルムに比べると、ハイライト側にかなり許容するように作られています。また、リバーサルフィルムが彩度が高めのものが多いですが、ネガフィルムは一般向けの製品はコントラストや彩度が高め、プロ用(スタジオ撮影を想定したもの)はコントラストや彩度が低めになっています。これらの特性をデジタルカメラでも再現するために、HiとStdの2つが用意されたと言えます。

実際これらの謳い文句がどういう形で実現されているのか。それをテストチャートを撮影することで確認して、今後の撮影に役立てたいとおもいます。

チャート撮影条件

今回は階調特性を紐解くために、グレーチャートを撮影してフィルムシミュレーションごとのハイライト、シャドウの再現の傾向を見ていきます。

グレーチャートにはエプソンのスキャナGT-X970に付属のIT8ターゲットを利用しました。厳密な数値ではなく、相対的な傾向が見たいのでこれで十分だと判断しました。露出はISO200、絞りF8、シャッタースピード1/3、焦点距離は55mmです。なお、光源には20Wの色評価用蛍光灯を使用しています。

チャート.jpg

撮影後にLightroomでグレーチャート部分のみをトリミングし、白黒にしています。すべて同一のRAWファイルからカメラ内RAW現像により生成した画像を使用しています。

チャート撮影結果

STD/Provia

これが富士フイルムの基準となる絵作りです。もともとフィルムのProviaは忠実な色再現よりも、多少彩度高めなのですが。

チャート_Provia.jpg

Provia.png

シャドウは潰れず、ハイライトも飛ばず余裕が少しあります。確かに標準としては良さそうです。ハイライト側は明るめにしながらも粘ってわずかに階調が残るようにして、中間からシャドウは滑らかに再現しつつ、黒は引き締める画作りになっています。

Vivid/Velvia

流石に派手な色再現、階調を目指すものだけあってProviaにくらべハイライトもシャドウもギリギリまで広がっています。白飛び、黒つぶれが起きていないのが不思議です。かなり硬めの描写になりますね。

チャート_Velvia.jpg

Velvia.png

Soft/Astia

ソフトという位置づけのAstiaですが、Proviaとくらべて単純にソフトであるとは言えません。今回のモノクロにしたヒストグラムだけ見ると、Proviaと変わらないか、若干硬いとも言えます。これは富士フイルムも公式で認めているところで、一部の色だけ軟調にするような画作りだそうです。ソフトというより、Proviaと似た階調で、肌色を自然に再現するためのシミュレーションと考えたほうがよいものです。

チャート_Astia.jpg

Astia.png

Classic Chrome

このフィルムシミュレーションはハードな階調と渋めの色再現が特徴なので、今回のテストではあまり特徴が出ません。Proviaとあまり違いがあるようには見えません。

チャート_ClassicChrome.jpg

ClassicChrome.png

ProNeg.Hi

リバーサル系のフィルムシミュレーションに比べて落ち着いた色再現と階調が特徴のはずですが、ProNeg.Hiに関してはハイエストライトはProviaとVelviaの中間くらい、ディープシャドウはProviaと同等か少しきつめのように見えます。また、中間調の再現はProviaのほうがなめらかな再現になるようです。今回は色については扱ってはいませんが、ProNeg.HiはProviaより色が渋くなりますが、コントラストはきつめのシミュレーションということになりますね。

チャート_ProNeg.Hi.jpg

ProNegHi.png

ProNeg.Std

このシミュレーションだけが明らかに異なるのは、ディープシャドウが浮いていることです。他のシミュレーションと同じくディープシャドウは締め気味なのですが、最も黒いところまでは締めていません。トーンカーブで黒点を移動させたような感じですね。強いライティング条件でないと、コントラストがうまくつきません。

しかし、他のシミュレーションが黒を締めてしまい、ディープシャドウの階調を再現しないのに対し、このシミュレーションではそこが再現できます。そのため、プリントのレタッチベースにするには最適と言えます。

チャート_ProNeg.Std.jpg

ProNegStd.png

ACROS

このフィルムシミュレーションも他のものとは異なります。ヒストグラムの高さがあまり高くない領域が多いということは、それぞれの階調を細かく描写してなめらかな画作りにしているということです。他と共通してディープシャドウは締まり気味ですが、Proviaと比べるとディープシャドウは締めすぎていません。そして、ハイライト側をよりハイキーに仕上げています。また、Proviaよりも硬調に仕上がっています。モノクロフィルムのACROSの特徴としてシャドウは粘るものの、ハイライトはあるところでいきなり飛ぶというところがあり、そこが再現されているように思えます。

チャート_Acros.jpg

Acros.png

まとめ:やはり富士フイルムはシャドウを締める絵作り

いままで感覚で使っていたものをこうして可視化すると面白い結果になります。Proviaだと派手すぎるように感じていたのでProNeg.Hiを多用していましたが、ProNeg.Hiのほうが階調だけ見ると硬調だということがわかりました。

あまり硬調にしたくないので、Proviaでカラーをマイナスにしたほうが好みの階調や色調になるかもしれません。これはテストを繰り返していく必要がありそうです。

また、もともと感じていたシャドウが締まる傾向はヒストグラム上ではっきり確認できました。こういう画作りが「富士フイルムの独特の色」として多くのユーザーに魅力的に写っているのでしょう。きっと、人の目には「フラットで忠実な再現」よりシャドウがしまった方が印象的に見えるということなのでしょう。

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